Vortex COREのカスタマイズ再び

Keyboard

いや、たしかに今から40%に慣れるのは無理だろうと思ってたのは事実。それでも一度経験しておこうと思って購入したのはいいけども、正直に言うと10分も使わずに諦めてしまった。MXの茶軸が自分にはそれでも音が大き過ぎっていうのもあった。でもね、勿体ないじゃない。そして自作キーボード界隈を眺めていると40%勢の多いこと多いこと。これは国内に限ったことでもなくて、海外でもファンは多い。さらに30%勢ってのもあってなかなか考えさせられる…。もしかしてこれって100%→60%で満足していた自分にとって、単に沼の入口にしかいなかったっていうことなんですかね。

そんなわけで、チャレンジを感じてもう一度Vortex Coreを引っ張り出してみたわけです。恐る恐るいじってみる。やっぱり難しい、ってか日英のIME切り替えってもしかしてキーを3個も押すの?よくこれで日本正規代理店は販売に踏み切ったなぁと感心したりもする。

よし、こうなったらちゃんと使えるまでカスタマイズしてやろうっていうのが今回の記事です。

 

ご覧の通り、見た目はVortexgearお得意のベゼルレスでキーキャップだけが見えている感じ。その代わりにケースがロープロファイルになるのでスイッチが横から見えちゃうっていうのが好みが分かれるところ。でも、このサイズだと携帯性も含めてこの設計でいいのかもです。

基本機能としてレイヤーがデフォルトを含めて3つ。これを右下のFnキーと「M」「,」「.」で切り替えるっていう、もうこの時点で難しい。というか、Momentaryでないレイヤーの切り替えをする人って実際にどれくらいいるんだろうか。

キーキャップはDSA、実測で壁の厚さは1.3mmといい厚さ、材質もPBTとスペック的には決してチープではない。でもキーボードのチープ感って実はスタビライザーのガタツキなどによるものが大きいと思うのですが、はっきりいってVortexはCOREとRace 3しか持ってないですが、スタビライザーのガタツキが極端にないんですよね。そう考えるとビルドのクオリティはとっても高い製品です。

40%で47キーStaggeredタイプ。弱点はやはりその特殊な配列でしょうか。そしてキーキャップ探しの難易度は高いかとおもいます。

さて、結論からお見せしますと

ご覧のように、ちょっとイメージ変わりますが、機能が変わっちゃった関係で他のDSAキャップを一部使っています。矢印キーがある時点で「クソがっ!」って思われそうですが、これはWASDやIJKLを他のキーに回しちゃっている関係でこうなりました。でもそのお陰で60%とほとんど違和感ない形で使えるようになっているので満足はしてますが。

これだけいじれて1万円くらいっていうのはなかなかコスパいいですね。

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と思ったらAmazonは在庫なしで価格結構上がってるんですね。楽天の方でも16,000円超えている感じ。

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キーマップを公式でできる以上に設定する

色々と情報を漁るうちに、デバッガーを使ってQMK対応にしちゃう話、デバッガーを使わずに無理やりバイナリをいじる方法。そしてカスタマイズしたキーマップを公式のツールを使ってキーボードに書き込んでしまう方法の3つがありそうなことが分かってきました。残念ながらデバッガーは手元にないのと、2番目もその成功例が見つけられなかったので、安全策としても3番目の方法を採用することにしました。(そのうちQMK化についてはもう少し調べてみたいけど)

こうなると話は簡単です。このサイトにあるWebインタフェースを使ってキーマップを変更します。設定は読み書きができるので、ゆっくり考えながらできますね。

Much Programming Core

このツールでできることはこんな感じ。

  • デフォルトを含む全レイヤーがいじれる
  • ツールが軽くて設定がパッと見にわかりやすい
  • マクロが使いやすい
  • キーを無機能に設定できる
  • 設定を保存・読込ができる

逆にできなくなることもあります。

  • オンボードでインスタントのマクロ記録ができない
  • Caps LockのLEDインジケーターが光らなくなる

神ツールですね。公式ではできないデフォルトレイヤーのキーマップが変更できる時点でかなり有用。さらにPnレイヤーにキーマップのカスタマイズがかなり自由に可能なので、特殊すぎる配列ももう怖くないんじゃないかと思います。

使用する上で他の注意点

  • 一番下の右から4番目にある「Fn」キーは動かせない
    • そのため、Fnキーはデフォルトのままに放置して、新たに使える「Pn」キーを好きな場所に配置して、ここに好みのキーマップを降っていくと幸せです。
  • LSpaceに「Fn」を割り当てると、「Fn1」になってしまう。これは、Modキーの割り振りでプライオリティが決まっちゃっているっぽいです。ので、他のMODキー「Fn1/Pn」を必ず他のキーへ割り当てておけば、LSpaceは空いてくれます。
  • お決まりですが自己責任でやってくださいね。私は責任取れません。

 

カスタマイズする
Modキーの配置を変える
主なオペレーションを左手で行うシンプルな感じに。「Fn1」と「Fn」をスペースバーの左右に配置、L Spaceを「Pn」キーにした。
 
IMEのトグルを楽にする

通常はAlt+`なわけですが、これがCOREのデフォルトだと3つのキーを押さないとならない苦痛には耐えられないのでマクロを置きます。マクロを使わずともできるのですが、CoreでShiftを絡めた3つのキーで何かをしようとすると、なぜかShiftキーを先にホールドしていないと機能しないのです。私だけなのかなぁ。でももし同じことでお悩みならマクロを使えば解決です

これをR ShiftのFn1とPnに振っておけば、懐かしのMacのIME切り替えのような感じになるわけです。Fn1+RSpace、あるいはLSpace+RShiftでトグルします。癖で「`」を無意識に打ってしまう私はESCのFn1レイヤーにもこのマクロを振ってます。

!@#$%^&*()+”?{}などの記号系キーのマクロ化

上の方で説明したShiftキーを先にホールドしないと機能してくれない問題以前に、これらのキーを入力するのに3つのキーを押している場合じゃないと思うので、それぞれマクロ化しました。

これでCOREのキーキャップにある緑色の記号系は「Pn」を振ったLSpaceで、ファンクションキーや数字はその隣の「Fn1」を使うというシンプルな形にまとまりました。

矢印キーなど

上のマクロを配置したことでシンプルなのはいいんですが、お陰で矢印キーを置けなくなってしまったため、個人的にあまり使わない右側のMODキーを置き換えて矢印キーにしてみた。ついでなので、隣りにある「Fn」キーを使って音量アップ・ダウン・ミュートも振っています。あとは計算機が「Y」だと気持ち悪いので「C」にも振ってます。

そして結構重要だと思うのですが、日本語を打つ上で長音「ー」はModキーを併用せずにそのまま打てた方が自然だと思うので、Delキーを移動して配置しています。

これらの変更を経て出来上がった私のキーマップはこのようになりました。

好みが人とは全然違うんだと思うのであれですが、一応とっかかりとして設定ファイルを置いておきます。「Open JSON」ボタンを使ってこのテキストファイルを読み込むことが可能です。内容はjson形式ですが、このツールで書き出すと拡張子がtxtになるので。

 
COREへの書き込み手順
手順はいたって簡単です。Windows 10でやっていますので、すみませんがWindows 7などでは確認できていません。そして公式のファームウェアの書き込みツールが必要なのでMacも無理です。Surfaceを持っている友達などを探してください。
メーカ公式のファームウェアを使用しますが、日本の正規代理店のファームウェアはそのままでは使用できなくなります。
メーカー公式:V1.04.05
国内代理店:V1.04.05.L1
L1が何を意味するのかわかりませんが、将来的に新しいファームウェアが出てきた場合には、HWPへ戻してやれば元へ戻せるので問題ないと思われますが、怖かったらやらない方がいいです。どっちみちMPCの方も結局は公式がリリースしているものなので安全だとは思いますけどね。
 
  1. Vortexgear公式からMPCをダウンロードする
    http://www.vortexgear.tw/vortex3.asp
    動作確認できているファームウェア「RGB CORE Firmware V1.04.05
  2. COREがUSBで接続されている状態でダウンロードしたexeを実行すると次のようなスクリーンが表示されます。
  3. 右上にある「Core by HWP」の部分をクリックして「Core by MPC」に切り替えます。これで「OK」を押せばアップデートが行わます。

  4. これでほぼ準備はできたので、変更したキーマップの設定をバイナリでダウンロードします。公式ではない方のWebページで「Generate Binary File」をクリック。



    保存のダイアログボックスが開くので、適当な場所に「layout.cys」を保存します。
  5. これで準備はすべて終わりです。キーボードへ書き込むため、一度COREのUSBを切断。「Fn(一番下の右から4番目)」と「D」キーを同時にホールドしながらUSBを接続します。指がつりそうになるのはデフォです。PCはCOREをUSBドライブと認識して開くことができます。開いたドライブの中にはすでにlayout.cysが含まれていると思いますので、これを自分の設定したlayout.cysのもので上書きしてください。



  6. 書き込み終わったら、USBを一度抜き3秒ほど待ってから接続し直してください。

キーマップを変更してみると、いやこれが結構快適じゃないの。数字や記号でちょっとまごつくことがあるけども、なれてきたら完全に全部のキーキャップを入れ替えてしまっても覚えていられる可能性も出てきたなと。

 
快適になったついでにもうちょい改造しようかなっと

まずは分解してみる。キーキャップを外して見えるネジは全部で5つ。これを外すと簡単にケースから抜き出しが可能。

プレートは恐らく塗装されたスチールかアルミ。スタビライザーはRSpaceに一箇所のみとシンプル。この茶軸はタクタイルのCherry MXですね。手元に静音タクタイルのAliaz 50gがあるのでこれに交換しようかと思う。

そのためハンダを剥がす必要がありますが、いうほど面倒でもなく、いわゆるスッポンと呼ばれるツールを持っていれば簡単です。また、使われているハンダによって融点が異なるので温度調節できるものがベストです。

うちにあるのは温度調節できるものとしては破格で3,000円くらいの中華製です。試してみると320度付近でちょうどよさそう、こういう目的なら安いもので全然問題ないかと思います。コテ先は白光の定番T18-C2に付け替えると使いやすいですよ。(コードの取り回しがいまひとつなんですが、まあ安いんで。それとこの中華製のは一応密閉性のあんまり高くないスッポンもなバンドルはされています。ので、何も白光のを買わなくてもいいのかもだけど、まぁ気分です。)

この写真の右側がハンダ付き、左側がスッポンで吸い取った後。こんな具合にハンダが吸い取れていれば簡単にスイッチを引き抜くことが可能です。ただ一箇所だけプレートとPCBをつなげている支柱のようなものがうまくハンダを剥がせなかったです。特に支障はないのでそのままにしておきました。
 
次にスタビライザーをLubeしておきます。ただあれです。Vortexのシリーズはどれもスタビライザーがしっかりとしていてかちゃかちゃすることがないので必要じゃなかったのかも。まあでも日曜工作としては楽しいのでやるのです。
 
クリップして、ぬりぬりして完成。
 
付け替えるAliazスイッチもLubeしておきます。
 
47個。結構時間かかりましたが完了。そしてCOREはPCBマウント用の足が5本は使えないので、2本の足を切断する必要があります。PCBに余計な穴を空けるとコストが上がるんですかね?将来的な他への移植を思えばフレンドリーじゃないわけですが、まぁ仕方ないですね。47個クリップしちゃおう。

 
これをすべてはめて再びハンダでひとつづつ固定していきます。キーキャップをはめる前に、スイッチの高さが揃っているか、ちゃんと通電しているかを確認。通電の確認にはこれがおすすめ。Winキーを押しても画面が切り替わることがないのでイライラせずに使えます。
そしてダンパーはEVAフォームの端切れを使って作りました。一番最初から全行程でやっぱり半日以上は掛かっちゃったかもだけど超たのしかった。
珍しく何も問題がなかったのでケースに戻してネジ止め。キーキャップをはめて完成しました。キーマップは結構いじっちゃいましたので、わかりやすいようにいくつかのキーを他のDSAに交換。真ん中のいわゆるAlpha部分は数字や記号の目安になっているので、慣れるまではこのまま使い続けてみようと思います。
 
さてと、これで終了なわけですが、この記事もあえてCOREを使ってすべて打つようにしてみました。日本語は何の違和感もなくとても打ちやすいです。長音を右上に配置したのもGood。もちろん指が慣れていない部分があるのでもう少し使い込まないとですが、なんかメインのキーボードはこれでもういいんじゃないかーって思えるくらい。一方で、60%の強みはやっぱりカスタマイズ性でしょうかね。COREだと他のケースを使うとかまったく無理だとは思うので。あとは右側のキーに一部1.25Uの代わりに1Uを使用している部分があるので、いずれ何とかしたいなとは思います。
 
追 記
その後、基盤を見てもらうとわかるのですが、キーごとのLEDの穴が空いていることに気がついて、それを実装した話へ続きます。
Vortex COREにLEDを実装してみる
前回の改造で、結構いい感じになっているVortex CORE。これになってから結構触る機会...

コメント

  1. uep より:

    ありがとうございます!ものすごく参考になりました。
    今度Vortex CoreをCherry 互換の35Gのスイッチに変えようとしていてます。
    半田を吸うやつとか、ピンが3ピンでOKとか、いろいろ調べようとしたことがまとめて書いてありました。助かります。
    自分としてはほぼノートパソコンで生きてきたので、できればもっと荷重の軽い
    キーボードで、極力薄いのが良いとは思いますがVortex Coreはとにかく
    省スペースで衝撃的でした。キーの個々の大きさを小さくするのではなくキーそのものを減らす発想がいいと思います。いまとなってはあれくらいストロークがあっても指への衝撃が少なくていいのかもしれません。3つ同時押しはゲーム感覚でそれはそれでいいと思いました。

  2. Makichan より:

    青軸のユーザーです。
    ちょっと音が大きいのが気になって赤かピンクに換装しようかなと思って情報集めているときにこちらのサイトにたどり着きました。
    なかなか興味深い記事で参考になります。

    もう一年以上前の記事なのでもしかしたらすでに解決しているかもしれませんが、Shift先に押さなきゃならない問題について。
    実は理由は簡単で、FN(PN)+Shiftに何も登録されていないからです。
    だからFNキー押してからShift押しても反応しないんですね。
    ShiftキーのFNのレイヤーに[Shift]を登録すればFN+Shift+xxでもちゃんと反応してくれますよ。
    私の場合、Shift , Ctrl , Alt のキーのPnレイヤー,Fnレイヤー,Fn1レイヤーにすべてベースと同じキーを設定しています。
    これでShift , Ctrl , AltキーがFnでもPnでも違和感なく使えます。

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