Asus ROG Zephyrus G14にRyzen 4000シリーズを搭載の実機レビューを解説

CPU

いや、買わないっすよ。買わないっすよ、たぶん。めっちゃ欲しくなったけど買わないっすよ。と、一応3回自分に言い聞かせておく。Ryzen 4000シリーズの情報がちらほら出ていたけども、ようやく実機のレビューがder8auerからアップされたので、動画から少し情報を記録しておく。いや、なかなか頼もしい内容だった。

Asus ROG Zephyrus G14の基本スペックなどは公式で確認いただくとして、トピックとしてはこんな感じ。

CPURyzen 4000シリーズ(Ryzen 7 4800HSとRyzen 9 4900HS)
GPUGeForce 2060 / 1660 Ti
RAMDDR4 3200MHz 最大32GB
SSDM.2 NVMe PCIe 3.0 512GB / 1TB
無線
Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.0
I/O
1 x USB 3.2 Gen 2 Type-C with DisplayPort 1.4(PD対応)
1 x USB 3.2 Gen 2 Type-C
2 x USB 3.2 Gen 1 Type-A
1 x HDMI 2.0b
1 x 3.5mmヘッドホン/マイク兼用ジャック

比較しているのはRyzen 9 4900HSを搭載したAsusのG14、そしてi7 9750Hを搭載したHPのラップトップ。AsusにはRTX2060、HPにはRTX2080が搭載されていて、いずれも8コアのハイエンドモデルになっている。

14nmプロセスのRyzen 3000シリーズを採用したSurfaceなどでは当然前世代なわけで性能が低くて誰も見向きもしなかったものの、今回の4000シリーズではデスクトップ用のR7やR9と同様の7nmプロセスで製造されていて、いよいよ現行世代のモバイル用プロセッサとして土俵に立てるようになったわけだ。

まずはAdobe Premiereによるレンダリング性能の比較。ブルーの17.55秒はit-9750Hを約10秒も引き離すというぶっちぎり。デスクトップ版のRyzen 7 3700Xと比較してもその差は僅かとモバイルなラップトップとは思えない性能をいきなり叩き出している。

CPU自体が高速っていうのもあるけども、先日AMDの顔とも言えるRobert Hallock氏から出てきたRyzen 4000シリーズの性能に関するテクニカルな説明動画で解説されていたSTT V2技術の説明を聞いてて眠くなったのは確かなんだけど、ようやく実機レビューでこれが証明されたのかも知れない。STT V2はCPUの温度管理に関する技術で、今のCPUで当たり前になっているクロックのブースト時の温度を監視して熱を持ってしまったときにクロックを落として安定させるというもの。Intelも以前からブースト技術を採用しているけども、このお陰でファンが回りっぱなしだけどブーストが落ちて、結果動作がうるさくて遅いっていう最悪の状況を作ってしまう原因でもあったわけです。

私の普段使いは12コアのRyzen 9 3900が発売になったときに飛びついて組んだPCだけど、色々いじってみた結果、特にRyzenプロセッサの速度は冷却機能を適切に持てるかどうか次第で決まってくる。当初はFractal R5に入れたミニタワーだったけど、これをNCase M1でコンパクト化したときに一番気をつかったのもその部分。水冷と複数Noctuaファンのコントロールでブースト時でもそれなりに安定してくれている。ブースト時は音を発するけども、それでも以前のFractalに比べればおとなしい。Webブラウズなどをしているとほぼ無音、写真編集やPhotoshopを使っているときでも、それほど気になるレベルでもない。

M1 Classic (Discontinued)
The original crowdfunded high performance small form-factor computer case. Designed by and for PC enthusiasts.

つまり、このデスクトップ環境とラップトップの状況は非常に似ているわけで、Asusが成し遂げたのは、ほぼそういった性能をウルトラブックのサイズに収めてしまったということ。もちろんそれ以外の足回りという意味ではデスクトップを置き換えることはないと個人的には思うけど、それでも外部モニターさえあれば大抵のことはできてしまうレベルなのは間違いない。

話をSTT V2に戻すと、CPUは内部センサーでチップ温度を計測しているわけだけど、そのセンサーの高性能にしたことと配置をコアの中心ではなく外周に置いたことで、コアがちんちんの温度でも実際のラップトップ筐体やマザーボード温度をより正確に計測できるようになったとのこと。

例えば、実際に95Cの連続稼働に耐えられるCPUだけど、実際90Cなのに計測温度が95Cになってしまえばパフォーマンスが発揮できてないことになるわけで、これを防ぐために正確な計測を求めたとのこと。また、ラップトップを開いたときに底面が少し持ち上がるようになっている設計により、エアフローを改善するという努力もしている。

この優れた温度管理と7nmプロセス製造の結果でこれだけのパフォーマンスを叩き出しているわけだ。ちなみにChinebench R20の結果がこちら。シングルで478、マルチで4120という数値においても、やはりR7 3700Xに逼迫してきている。

der8auerのレビューが面白くなってくるのはここから。G14の蓋を開けてCPUのサーマルペーストをi7などでもよくやる液化金属による冷却を試みている。Ryzen CPUではこれまであまり液化金属による効果がi7に比べて低いと認識しているけども、今回はさてどうか。

上が改変前のコア速度。wPrimeを走らせながらで全コア3.7GHz程度になっているのがわかる。

裏面のネジを外して内部を覗くと、ヒードシンクを持ったM.2 SSD、そしてスロット方式でスワップ可能なDIMMが見える。また、SSDの下にあるのが恐らくIntel製のWIFI 6/Bluetoothのモジュール。分解は非常にしやすそうなイメージ。

ヒートスプレッダを外すと、左側が4900HS、右側にRTX2060が見える。VRAMや電圧レギュレーターにもばっちりサーマルペーストが塗られているのがわかる。CPUとGPUは直接カッパー製のヒートパイプにつながっているため、特に殻割りをする必要がない。

ここに液化金属を使うことになるけども、CPU/GPU周りに貼られている黒いビニールテープのような絶縁体を一旦剥がして、マニキュアによる絶縁に塗り替える。これも液化金属ではよく使われる方法で、サーマルペーストとは異なり液化金属自体に電気の伝導性があるので、はみ出した金属がショートを起こさないようにマニキュアで固める方法。

液化金属を塗り塗り、そして元通りに組めば完成。

ちなみにここで使用している金属液化ペーストはこちら。

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とっても小さくて見にくいけども、液化金属による効果は割と凄かった。蓋を開ける前に計測していたのと同じ状況で全コア速度が約3.7GHz→4.2GHz超えに上昇。そして温度も80Cくらいで安定している… マジかこれ…。ほ、ほしい…。

さらにCinebench R20とPremiereの再計測結果はこちら

ブルーの下のラインが元々の数値、上が金属液化後。ほぼほぼi7-9900Kい追いつきそうな数値。9900Kってデスクトップ用だよねっていう…。そしてエンコード結果ももちろん良好でデスクトップ用の3700Xに逼迫するほどの性能を出している。

ちなみに価格情報もリークされていて、$1049.99~$1999.99とそこそこの価格かも知れないけども、それでも性能を考えれば結構予想よりも安いんじゃないって思う。なかなか悩ましい2020である。

SKU仕様予定価格発売時期
GA401IV-PS9614″ QHD 60Hz/R9-4900HS/16G/1TB/RTX 2060 Max Q/AniMe Matrix Display/Grey$1999.99ETA 6/1
GA401IV-BS96-WH14″ QHD 60Hz/R9-4900HS/16G/1TB/RTX 2060 Max Q/AniMe Matrix Display/White$1999.99ETA 6/1
GA401IV-BR9N614″ FHD 120Hz /R9-4900HS/16G/1TB/RTX 2060 Max Q/White$1449.99Q2
GA401IH-BR7N2BL14″ FHD 60Hz/R7-4800HS/8GB/512GB/GTX 1650/Grey$1049.99Q2
GA401IU-BS7614″ FHD 120Hz/R7-4800HS/16GB/512GB/GTX 1660 Ti Max Q$1299.99ETA 4/13

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